ゲイリー | 「SIREN」の音楽についての対談とのことで、まずこのゲームの音楽がどういう分担で制作されたかからはじめましょうか?メインテーマで一番耳にする事の多い童歌風のオラショなどムービー部分のメロディーが割とはっきりした部分を担当しているのが冷水さんで、僕は主にフィールド画面で延々鳴っている、ゴワ〜ンという音響系の音楽を作っています。 |
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冷水 | とはいえ、棚田のフィールドBGは私がやってたりするので、完全に分業というわけではないんだけれど。 | |
ゲイリー | フィールドBGのうち、2曲では松前公高さんにも参加して貰ってますが、この辺りは僕の判断です。次々と襲いかかってくる屍人との激しい攻防を重鈍でメタリックなサウンドで演出したくてお願いしたんですけど。 |
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冷水 | 映画の場合、ホラーと言ってもその中にホッとする場面があったり、ラブ的な展開が少し入ったり、コワイ以外の要素がはいることが多いのですが、今回は、コワイ-暗い-気持ち悪い-狂気、が全てだったので特殊な体験でした。フィールドBGは楽音を殆ど使わずに、ひたすらどんどん生理的に気味悪くしていくという作業でしたので、音を作っているだけでも閉塞感がありましたね。 | |
ゲイリー | 確かに今年は気候もよくないし、そんな中でスタジオにこもりっきりで怖い曲を作り続けるのはかなり精神に変調を来しましたよね(笑) | |
冷水 | 私が担当した部分のムービーはかなり映画音楽に近い作り方ですが、制作スタッフから頂いたムービーファイルを始めて見たとき真っ暗でナニも見えなかったので、"なにもうつってないのですが・・・"と電話しそうになりました。(笑) ずっと見ているとそのうちに目が慣れて、なにか動いていることがわかりました。 |
カリスマ/黒沢清監督作 |
ゲイリー | 「SIREN」の音楽性について話しましょうか。 |
CURE(キュア)/黒沢清監督作 |
冷水 | たとえば、橙色をしたボウーッ霞んだ月が何もない空に、とつぜんポカーっと浮かんでいるような不気味さ、禍々しさを出したかった。メロディー自体はわざと明るめなんだけれど、中がガランドウで不安感を誘うような単純さ。日本の土俗の要素はあるんだけれど、でもどの国のものでもない。 |
降霊/黒沢清監督作 |
ゲイリー | 僕も柚楽弥衣さんには映画の仕事でなんどもスキャットをお願いしてるのですが、本当に表現の幅が広くて素晴らしい。こういうエスニックなテイストが彼女の本分なんだろうと思うんですが、実はいわゆるダバダバ系のスキャットなんかも物凄く雰囲気いいんですよね。伊集加代さんやモリコーネなどで聴かれるエッダ・デロルソみたいな暖かみのあるスキャットがまたいいんです。黒沢清監督の「ニンゲン合格」のスキャットの曲をやってる人と「SIREN」のオラショの人が同一人物なんて笑っちゃいますけどね(笑)。 |
呪怨2<ビデオ版>/清水崇監督作 |
冷水 | 古いけど「サスペリア」とか「キャリー」とか女ノコっぽいのは好き。あとはジョンカーペンターのものとか。音楽で好きなのは、やっぱりクラシック中のクラシック、バーナードハーマンの「サイコ」です。 | |
ゲイリー | なるほどね。「サスペリア2」の冒頭の女の子の童歌みたいなのと「SIREN」のテーマはどこか通じるところがあるので興味深いですね。僕はトビー・フーパーの「悪魔の沼」だなあ。とにかくトビー・フーパー自ら奏でる電子音が変な音色満載、いや〜な感じで最高なんですよ。多分今回の「SIREN」の音楽にも色濃く影を落としてると思うんですが。ホラーは僕自身かなりの思い入れを持って望んでいるジャンルなんで今後も機会があればどんどん挑戦したいみたいですね。 | |
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SIREN 公式サイト--http://www.playstation.jp/scej/title/siren/ |
Gary Ashiya | Hitomi Shimizu |